文庫本になっていたので『ICO -霧の城-』を読んでみた
HOBBYカテゴリー初エントリーとなります。このカテゴリーでは、Webに関わらない趣味で紹介したい事等をつらつらと書き残していきます。
今回は本について。『クロスファイア』や『模倣犯』を書かれている宮部みゆきさんによる『ICO -霧の城-』を紹介します。
ゲームの「ICO」を遊んだことがあり、本が出ていることも知っていたところ文庫本化されていたので読んでみました。
ゲーム「ICO」について
元々はゲームだったのを、宮部みゆきさんが感銘を受けて書籍化したとの事ですが、そもそもこの「ICO」というゲーム自体、殆どストーリーを解説されることがありません。(細かい設定はあるようですが明らかになっていません)
その為、単純にゲームとして操作する楽しさと、与えられる限られた情報からプレイヤーが自由に「想像」し、空白のストーリーを埋めていく楽しさがありました。
また、インターフェースも極めてシンプルで、アクションゲームにありがちなゲージの類は全く無かったり、BGMも特定の場面でしか流れない等、キャラクターを「操作」する事に重点が置かれている事で、独特な世界観ではあるものの入り込む事が出来る作りになっているゲームだと思います。
『ICO -霧の城-』について
本の話に戻りますが、そこには一プレイヤーである宮部さんの解釈による「ICO」が展開されています。
語られていない舞台背景から、主人公・ヒロインの性格、そもそもの目的を練り上げしっかりと紐付けられていて、次が気になる展開が続き一気に読み終えることが出来ましたが、プレイした事がある方には自分の中で紡いだストーリーとの解釈の違いに、共感する事が出来ない場合があるかもしれません。
また、ゲームの「ICO」のストーリーの流れを崩さないように書かれていることと、要所要所の主な描写が盛り込まれているため、プレイした人にとってはあの場所のあの場面を描いているんだな、というイメージを沸かしてくれるので、その点には非常に好感を持てました。
自分の解釈とは違う新しい「ICO」の発見と、またプレイしたくなるような細かな描写を楽しむことが出来る一冊でした。